なぜ、私は医伝士を創ったのか
医療現場は今、医療従事者の使命感とプライドによって保たれている。
在宅医療への需要は急増し、求められる医療レベルも高度化している。このまま進めば、現場はますます逼迫していく。在宅医療の現場に立つ医師として、私はこの構造的な限界を肌で感じてきた。
原体験
がん末期で食事が摂れなくなった患者さんが、「甘いものを食べたい」と訴えた日のことは今も忘れない。
医療的介入を決断し、再び食事ができるようになったとき、本人と家族が喜んでいた姿。その瞬間、気づいた。
医療の本質は、「正しさ」ではなく「人生にとって意味があるか」だ、と。
構造への問い
けれど現場では、効率化の名のもとに「人と向き合う時間」が削られている。書類作成、情報連携、記録業務――本来不要な間接業務が積み重なり、医療者が患者さんのそばにいられる時間は減り続けている。
医療提供側が充実していることが、質の高い医療につながる。だからまず、在宅医療に従事する人の負荷を減らすことから始めようと決めた。
AIと人間の役割分担
AIが台頭してきた今、診断やアセスメントの精度は機械が人間を超えつつある。そんな時代に、医師・看護師が本当の強みを発揮できる領域はどこか。
それは、信頼関係を築くこと。この人になら本音を言える、という関係性を作ること。実際に手を動かし、身体に触れ、人のぬくもりと安心感を届けること。
幸せは、人と人との間に宿る。AIにはできない、この領域にこそ医療者の真価がある。
医伝士の決意
私はこの矛盾に抗うように、在宅医療の現場から医伝士を立ち上げ、kowairoというツールを創っている。
声から記録と連携を生み出し、”その人らしさ”を支える仕組み。これは単なる便利ツールではない。医療者の誇りを守り、人と人生に真に向き合う医療を、もう一度取り戻す挑戦だ。
株式会社医伝士 代表取締役
宗 大貴




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